tracing-skill-test
スポンサーリンク

トレースという言葉を聞くとデザインやグラフィックの世界での技術を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回ご紹介する「トレース技能検定」は全く違う分野、建設業界などで使われるトレース技術にまつわる資格です。

デザインされた図面を正確に、美しく清書する技能のことでして、将来的に建設業界などで働きたい、キャリアアップをしたい、など考えているのであれば知っておいて損はないかと思います!

今回もトレース技能検定について、どんな資格なのか?メリットやキャリアアップにどう繋がるのか?受験したい場合に気になる受験費用や試験傾向など、様々な視点から情報を整理しておりますので、ぜひご覧ください♪

トレース技能検定の概要

tracing-skill-test1

トレース技能検定は、専門家が描いた建築、機械、地図、デザインなどの図面を正確かつ美しく清書する技術を審査する検定試験です。この資格は、トレーサーとしての専門知識と技能を有しているかを評価するもので、建築、機械、土木業界などでの需要があり、活躍が期待されます。また、近年のデジタル化の進展に伴い、CAD操作の資格との併用が有効だと言われています。

・資格の種類

トレース技能検定は、1級から4級までの4つの受験級に分かれており、各級は難易度に応じて異なる内容を持っています。4級は基本的なトレース技術、3級はより複雑な図面のトレース技術、2級は図面の作成に関する知識、そして1級は最も高いレベルで複雑な図面のトレース技術と図面の技術指導能力が求められます​​​​。

国家資格か民間資格か

トレース技能検定は、文部科学省の後援を受ける公的資格です。国家資格や準国家資格にはあたりませんが、文部科学省の後援を受ける資格のため、他の民間資格よりも高い信頼度を誇る資格です。試験は毎年10月に一度開催され、試験の成績優秀者や成績優秀団体には文部科学大臣賞などが授与されることもあります。

・資格の歴史

トレース技能検定は約50年の歴史を持つ資格であり、主催者である一般財団法人中央工学校生涯学習センターは昭和35年から製図に関連する通信教育を提供しています。この長い歴史は、トレース技能の重要性とその継続的な需要を示しています。

トレース技能検定は、建築、機械、土木業界などでの需要が高く、デジタル化が進む中でCAD操作などの技術も重要視されています​​。この資格を取得することで、関連業界における専門知識と技能を証明することができます。

トレース技能検定が活かせる職種

トレース技能検定を取得することで活躍できる仕事は、主に建築、設計、製図関連の分野に集中しています。
以下のような職種での就職やキャリアアップが期待できそうです。

  1. 建築士補助 – 建築士の指示のもと、建築計画や設計の製図作業を行います。
  2. CADオペレーター – コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使用して、機械や建築物の設計図を作成します。
  3. インテリアデザイナーのアシスタント – インテリアデザインの案を図面に起こす作業を担当します。
  4. 土木設計補助 – 土木工事に関する計画や設計の製図をサポートします。
  5. 機械設計補助 – 機械製品の設計図を作成する際のアシスタント業務を行います。
  6. 製図技術者 – 建築や機械など、各種製品の製図作業を行います。
  7. 設計事務所のスタッフ – 設計事務所での製図や資料作成などのサポート業務を担当します。
  8. 施工図の作成者 – 建築現場での施工に必要な詳細図を作成します。

これらの仕事では、トレース技能検定によって習得した製図技術や図面理解能力が直接活用されます。メリットとしては、トレース技能検定が建築や設計の分野での専門性と技術力を示すものとして評価されるため、就職やキャリアアップに有利に働くことが期待できます。

もちろん、取得された等級によって評価も変わりますので、将来的なキャリアアップを目指すのであれば上級(1級や2級)の取得を目指したいところですね!

トレース技能検定の受験・費用について

tracing-skill-test2

いつも通り、トレース技能検定の受験情報についてまとめました。取得を検討されるのであれば、ぜひご覧ください。

受験資格

トレース技能検定に受験資格の制限はありません。どなたでも受験することが可能です​​。

試験内容

トレース技能検定は、実技試験と理論試験から構成されています。1級の実技試験では、「図面用文字」「技術上熟練を要する複雑な図」「技法上熟練を要する複雑な工業用図面」「専門分野の印刷用原図」が出題されます。理論試験では、「トレース用具および用紙に関する専門的事項」「用器画法に関する事項」「日本工業規格(Z8310~Z8318)の応用的事項」「版下作成に関する基本的事項」「専門分野に関する一般的事項」「CADに関する一般的な知識」が問われます​​。

試験時間

実技試験は150分、理論試験は30分の時間が設けられています​​。

合格基準

トレース技能検定の合格基準は公開されていません​​。

受験料

  • 1級:5,500円
  • 2級:4,500円
  • 3級:3,500円
  • 4級:2,500円​

試験会場

試験会場は東京都、石川県、愛知県、大阪府、兵庫県、香川県の6会場に加え、その他応募会場(準会場)があります​​。

試験日程

申込み期間は例年7月上旬から9月中旬です。試験日は例年10月中旬に実施されます​​。

※2023年12月17日時点での情報となるため、詳細は該当サイトをご覧ください

その他の詳細については、一般財団法人 中央工学校生涯学習センターの公式サイトをご覧ください。
一般財団法人 中央工学校生涯学習センター:https://chuoko-center.or.jp/trace.html

トレース技能検定の合格率と出題傾向について

いつも通り、トレース技能検定の合格率や出題傾向をまとめてみました。

合格率:

  • 1級:約36.1%
  • 2級:約38.5%
  • 3級:約70%
  • 4級:約77.3%
    • 4級と3級は比較的合格しやすく、2級と1級では合格率が30%台となっており、専門的分野の応用知識と高度なトレース技術が要求されるため難易度が高いです​​。

出題傾向

  • 全級共通:実技と理論試験に分かれています。
  • 1級:
    • 実技:図面用文字、技術上熟練を要する複雑な図、複雑な工業用図面、専門分野の印刷用原図。
    • 理論:トレース用具および用紙、用器画法、日本工業規格の応用的事項、版下作成、専門分野一般的事項、CAD知識。
  • 2級:
    • 実技:図面用文字、技術上熟練を要する複雑な図と工業用図面。
    • 理論:トレース用具および用紙、立体用器画法、日本工業規格、版下作成、図面用文字、専門分野基礎的事項、CAD基本知識。
  • 3級:
    • 実技:製図用文字、やや複雑な図、工業に関連する図面。
    • 理論:トレース用具の整備調整、立体用器画法、日本工業規格の応用的事項。
  • 4級:
    • 実技:線の基本、製図用文字、簡単な図と図面。
    • 理論:トレース用具、図面表現の初歩的事項​​。

合格率の低さと出題範囲の広さから、高級(1級、2級)では専門的な知識と熟練した技術が求められることがわかります。対して、低級(3級、4級)では基本的なトレース技術と知識が中心となっているので、私のように全く下地が無い中で目指すのであれば4級から勉強するのが良さそうですね!

まとめ

tracing-skill-test3

さて、今回はトレース技能検定をご紹介いたしましたが如何でしたでしょうか。

ある程度、求められるキャリアが決まっている資格ではあるので、幅広く資格を取りたいという方よりは建設業界などに関わる方向けの資格です。特に合格率を見ると2級から大きく難易度が上がり、3級以下での知識を持っていることが前提となりますので、4級からしっかりと学び進めていきたい資格ですね!

例年7月あたりから申込みが始めるので、申込み忘れは無いようご注意を。
ぜひ、ご紹介した資格情報を参考に、資格の取得を目指してみてください!

スポンサーリンク